第四章　侵掠

　1916年10月9日、ペルシア分割の結果に不満があったのか、ロシアがオスマントルコに宣戦を布告した。これに対して、オスマントルコに独立保障を与えていたイギリスが、オスマントルコの側についてロシアに宣戦を布告し、第十二次露土戦争が勃発した。

　このように我がオマーンの周辺はきな臭くなり、現在のところ我が国の数少ない鉄の産地の一つであるヤズドの維持が将来困難になるおそれが出てきた。そこで、我が国は新たな鉄の産地を獲得する必要があった。そして、我が国が文明国になって初の植民地戦争で標的に選んだのは朝鮮であった。朝鮮は国内に多くの鉄と石炭の産地を有し、さらに木の産地も有していた。我が国は陸軍維持費と防衛費を最大にして唐山、天津、太原で養成した65騎兵部隊を補充するとともに、新たに戦列艦師団を3ユニットと帆走輸送船師団を15ユニットを養成した。戦列艦師団が北黄海で配置につき、渤海に到着した帆走輸送船師団22ユニットは騎兵部隊を載せると北黄海に向かい、やはり配置についた。1918年6月26日、我が国は朝鮮に植民地戦争の宣戦を布告した。1918年7月6日に8部隊が利川で、5部隊が沙里院で上陸を完了し、7月8日には5部隊が開城で、4部隊が海州で上陸を完了し占領を開始した。その後、我が国の海軍は朝鮮との海戦に勝利し、渤海で第2陣の騎兵部隊を載せた帆走輸送船師団が朝鮮の沿岸で配置につくと、8月10日、5部隊が光州で上陸を完了し、8月12日、4部隊が元山で、3部隊がカンゲで、2部隊が済州で上陸を完了し、8月13日、3部隊が清津で、3部隊が咸興で上陸を完了し占領を開始した。さらに9月21日には第3陣の6部隊がカンナンで上陸を完了し、3部隊が浦項で上陸を完了し、3部隊が清津で上陸を完了した。朝鮮陸軍は各地で抵抗したが、数と組織力で勝る我が軍の前に次々に敗退していった。朝鮮各地は我がオマーンの占領するところとなり、最後まで抵抗を続けた太白と咸興も、1919年1月6日、第4陣の10部隊が咸興で上陸を完了し、4部隊が太白で上陸を完了すると、朝鮮の敗北は決定的となった。1月13日、最後のプロヴィンスの咸興の占領が完了すると、朝鮮は我が国が提案する首都以外の全プロヴィンスの割譲を条件とした和平提案を受諾し対朝植民地戦争は終結した。戦争の最中の1918年11月5日、我が国の科学者は「家内制手工業」を開発した。

　北米大陸では、1868年3月16日にカナダがイギリスから独立して衛星国となったが、メキシコを併合したアメリカ合衆国が、1917年4月19日、カナダに対して宣戦を布告し、イギリスがカナダの側についてアメリカ合衆国に宣戦を布告した。5月6日、アメリカ合衆国では「諜報活動取締法と治安法」について「戦時中に祖国を非難するのは反逆である」と選択した。これにより、社会党は大量の逮捕者と公職追放者を出し、超少数与党に転落した。1904年4月19日〜1905年5月27日の第一次米加戦争ではアメリカ合衆国は大した戦果を得られなかったが、1918年3月3日、カナダからハースト、モントリオール、ニピゴン、アレクサンドリア、ドナルド、ドライデン、サッドベリー、シドニー、ティミンズ、ドーフィン、ウィニペグ、ケベック、トロント、フォートウィリアム、ブランドン、ネルソン、ペンビナ、ヴァーノン、フレデリクトン、スーセントマリー、リヴィエールデュルー、バサースト、ロンドン、シャーブルックを割譲させ、第二次米加戦争は終結した。

　1917年8月23日、フランスがオーストリアに対して宣戦を布告した。両シチリア王国、教皇領はフランスの側についてオーストリアに宣戦を布告し、ナッサウ、バーデン、バイエルン、ハンブルク、ヘッセン・ダルムシュタット、ヘッセン・カッセル、リッペ・デトモルト、オルデンブルク、ヴュルテンベルク、リューベックはオーストリアの側についてフランスに宣戦を布告した。

　Ｖｉｃｔｏｒｉａも終わりに近づいたので、我がオマーンは少しでも多くのプロヴィンスを占領することにした。朝鮮との海戦で帆走輸送船団師団は3ユニット失われたが、まず、残り19ユニットの帆走輸送船師団で朝鮮から中国に騎兵部隊の一部を戻し、太原の反乱を鎮圧させてから、同じ帆走輸送船団が朝鮮でさらに騎兵部隊を載せてアチェとザンジバルに向かった。1919年2月26日、帆走輸送船師団10ユニットがグレート海峡に、3月2日に5ユニットがメンタワイ海峡北部に到着した。さらに戦列艦師団が3月25日にグレート海峡に、3月28日にメンタワイ海峡北部に到着すると、3月30日、我が国はアチェに植民地戦争の宣戦を布告した。4月13日、タルモン、アチェーン、デリに各5部隊が上陸を完了した。5月1日、我が軍によってアチェの全プロヴィンスの占領が完了した。全プロヴィンスを占領後もアチェを直ちに併合せず、占領状態を継続することにした。これは併合によるＢＢＲ上昇をＶｉｃｔｏｒｉａ終了直前まで避けるのと外交点を貯めるためであった。アチェから15部隊のうち12部隊を引きあげると、マダガスカル沿岸のマハジャンバ湾とバンバカ沿岸北部に向かった。この頃、仏墺戦争でバーデンは1919年4月15日、フライブルクをフランスへ割譲する和平に応じ戦列を離脱した。

　1919年3月23日、帆走輸送船団4ユニットががペンバ海峡に到着し、4月16日に戦列艦師団がペンバ海峡に到着すると、4月18日、我が国はザンジバルに植民地戦争の宣戦を布告した。4月27日、我が軍はザンジバルに上陸し、占領を開始した。6月19日に我が軍はザンジバルの占領を完了して、6月21日にザンジバルを併合した。

　5月28日、アチェから到着した我が海軍が配置につくと、1919年6月7日、我が国はマダガスカルに植民地戦争の宣戦を布告した。トランスヴァールがマダガスカルと同盟を結んでいたのでオマーンに宣戦布告をしたが、トランスヴァールは内陸国でイギリス植民地に囲まれていたのでオマーンが攻撃を受けるおそれはなかった。6月18日に2部隊がメナベで上陸を完了し、6月21日に4部隊がバムバカで、6部隊がボイナで上陸を完了した。さらにザンジバル併合後、ザンジバルの部隊はマダガスカルに移動してバムバカに上陸した。7月11日にはボイナを、7月16日にはバムバカを占領すると、バムバカの部隊は内陸部のイメリナに移動し、8月8日にはメナベ占領が完了し、8月20日にはイメリナ占領が完了してマダガスカルの全プロヴィンスの占領が完了した。この頃、仏墺戦争でヴュルテンベルクは1919年8月1日、チュービンゲンをフランスへの割譲と武装解除を条件とする和平に応じ戦列を離脱した。

　仏墺戦争では、1919年11月30日、フランスがナッサウを併合し、1920年2月7日、オルデンブルクはフランスとの和平を現状への復帰で受諾し、さらにフランスは、3月4日、ヘッセン・ダルムシュタットを併合し、8月30日、ヘッセン・カッセルを併合した。このようにしてドイツ諸邦は次々に切り崩され、11月6日には、ついに南ドイツの大国バイエルンが、インゴルシュタット、ケムニッツ、ジークブルク、バイロイト、ニュルンベルク、ヴュルツブルク、アシャッフェンブルク、カイザースラウテルン、ザールブリュッケン、クロイツナハをフランス へ割譲して戦列を離脱した。しかし、オーストリアは依然として仏領スイスを占領しており、戦局はその後膠着状態に陥った。

　朝鮮で新たな産鉄地を獲得したオマーンは、1920年4月13日、 オスマントルコと交渉を行い、ヤズド、バンダルアッバース、アルラを売却し、ラスチッドとケシムを購入した。1920年8月23日、我が国の科学者が「機械生産」を開発し、我が国はまた一歩工業化を進めた。そして、Ｖｉｃｔｏｒｉａもいよいよ終わりに近づいた1920年10月6日、我が国はマダガスカルとアチェを併合した。こうして我が国はかつて英国と並んでインド洋の二大海上勢力の一つとして君臨した往時には及ばないものの、なんとか環インド洋帝国と呼べる程度の領土を有するに至った。我が国の隣では露vs英・土の戦争がまだ続いているが、膨張主義のロシアはいずれ我が国に矛先を向けてくるであろう。我が国がロシアに対抗するためにはイギリスとの関係改善が急務となった。

エピローグ　に続く