　頼朝を臣従させ、奥州藤原氏との同盟を破棄し、平氏を攻め滅ぼし、奥州藤原氏を攻め滅ぼすと、1182年5月下旬、武田氏は日の本を統一しました。

　プレイが終わると、次のような年表が生成されました。1180年より前は例によって省略します。

一一八〇年

木曽の義仲
土佐の希義
伊豆の頼朝、等々
各地に雌伏していた者達が
平家の世を終わらせんとして
各地で挙兵することとなる。
後に源平争乱と呼ばれた戦いは
かくして幕が切って落とされたのだ。

新羅三郎義光の子孫にして
甲斐源氏の中心たる武田信義も兵を挙げる。
名門たる信義は安易に
源頼朝に与することなく、
甲斐から平家打倒の道へ進むことになる。

一一八二年

その後何年にもわたる熾烈な戦いの後
ついに武田信義とその軍勢によって
栄華を誇った平家が滅び去り、
すべての棟梁を配下に治めたとき
人々は思ったことだろう。
これでまた平安と安寧の世が戻るのだと。
だが信義は気づいていた。
この世を統べるべき力とはもはや
帝の家とその総帥、
廷臣たちの手の中のみではなく
力ある者に分かち与えられるべきなのだと。

一一八七年

武田信義は朝議を経て
征東大将軍に任命された。
甲斐の国・市河に置かれた彼の政庁はのちに
市河幕府と呼ばれることになる。
王朝国家は終焉に向かい、
武者の世が本格的に幕を開けたのである。

　甲斐国・市河とは甲府盆地底部に位置する市河荘のことで、「尊卑分脈」等によると、12世紀前半に常陸国から源義清・清光親子が配流され、甲斐における勢力基盤としたそうです。義清を祖とする甲斐源氏はその後甲府盆地の各地に進出し、治承・寿永の乱においても甲斐源氏の挙兵に従う武士のなかにも市河姓の人物が見られ、市河荘に関係すると考えられているそうです。

　ところで、2ndプレイで日の本を統一した武田氏の市河幕府は、その後どのような運命を辿るのでしょうか。

　「源平争乱」では、その後の年表はありませんが、少し推測してみようと思います。

　史実世界では浄土宗、浄土真宗、時宗、日蓮宗、臨済宗、曹洞宗という新仏教六宗派は「鎌倉新仏教」といわれていますが、この世界では「市河新仏教」といわれているでしょう。史実世界では、戦国時代に武田信玄によって創建された甲斐善光寺に大仏がありますが、甲斐善光寺は、川中島の戦いで戦火が信濃善光寺に及んで焼失したことから武田信玄が本尊等を甲斐国に奉還したことに始まります。信濃善光寺は源平争乱の最中の1179年にも大火災にあって焼失しており、史実世界では、1187年に頼朝によって再建されていますが、この世界では、1179年の焼失の後に本尊等が甲斐国に奉還されて武田信義によって甲斐善光寺が創建され、史実世界の鎌倉大仏のような大仏が現在の大仏のかわりに建っているかもしれません。また、史実世界の甲斐善光寺には頼朝の坐像が祀られていましたが、この世界では武田信義の坐像が祀られているかもしれません。

　武田信義には、双子の兄がいて、逸見氏を継ぎ、逸見光長と名乗りました。史実世界では、治承・寿永の乱での武田氏の活躍に比べて、逸見氏は目立たない存在になってしまいましたが、この世界では武田氏の市河幕府に対して、逸見氏はその最大の対抗勢力となり得る存在だったでしょう。時には、武田氏と逸見氏の間で対立が発生し、これを市河幕府の危機を見て、朝廷が討幕の兵を挙げて、史実世界でいう「承久の乱」のような事態になったかもしれません。しかし、おそらく、市河幕府もその難を乗り越え、朝廷をも凌ぐ権力を有することとなったでしょう。

　史実世界では、武田信義は失脚し、嫡男の一条忠頼をはじめ弟や息子達の多くが死に追いやられる中、信義の五男信光は頼朝から知遇を得て甲斐守護に任ぜられ、韮崎にて武田氏嫡流となり、その後、信光は承久の乱でも戦功を上げ、安芸守護職に任ぜられ、安芸武田氏の祖となりました。そして、南北朝時代には安芸守護であった信光の玄孫の武田信武が足利尊氏に属して各地で戦功をあげ、甲斐国守護となりました。

　この世界では、武田信義の嫡男の一条忠頼改め武田忠頼が市河幕府第2代将軍となり、信光が安芸武田氏の祖となったでしょう。そして、「元寇」襲来後に弱体化した市河幕府が滅亡して、甲斐武田氏の嫡流は滅びますが、この世界でも信光の玄孫の武田信武が南北朝時代に足利尊氏に属して各地で戦功をあげ、再び甲斐国守護となるでしょう。

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